2017/08/17 | 「イノベーション」の美学 | 55view

02 乗り越えた者に見える景色

「夢見れることは確実に実現出来る」と言い切る真鈴が、エベレスト登頂に向け動き出したのが17歳。プロジェクト結成から2年で成し遂げたその根底には、さまざまな出会いと多くの協力があった。一つの目標を達成した目に映ったものは何か。


夢の実現に向けて動き出す

真鈴が日本の大学へ進学することが決まった時、エベレストへ登るためのプロジェクトを発足。自分自身の意志と行動によって大きく前進することになる。
真鈴「17歳の時、両親の離婚が決まったと同時に日本に戻ってきました。一人暮らしをすることになり、私はその時に『なんで自分の人生においてコントロールがないんだろう』と思いました。いつも与えられたレールをただ歩いているだけで、このままでは大人になれないと思ったんです。そこで、『13歳の時に描いた夢を今、叶えよう』と思い、エベレストへ登るためのプロジェクトを組みました。私にとってのエベレストは、自分の心の中の大きな山の象徴。その山を乗り越えたら自分が見つかる、自分が発見できる、私の心の中を表しているんだと思いました。登山の資金を募るために新聞社へ掲載してもらえるように売り込んだり、また知人の紹介を辿って最終的にはユニクロさんへ繋げていただいたり。どこにどんなチャンスがあるか分からない、とにかく色んな人を巻き込んでいくことが大事だと思っています」
人は皆、日常生活で「見えない山」を登っている。それが人間関係、仕事など、山というものが生きる事においての色々な要素を凝縮して現実化したものであると話す真鈴の眼差しが印象的だった。


「トレーニング中の事故」を経験して乗り越えたこと

しかし標高数千メートルの登山は、「死」と隣り合わせでもある。トレーニング中に遭遇した事故で、山への想いが更に強くなる。
真鈴「日本の山でトレーニングしていたときに滑落したんです。その時、やめようと思ったらやめられたけれど、『絶対にこの経験を力に変えてやろう』と思ったんです。滑落したことは自分の精神にとって辛い事であったんですが、一番辛かったことは両親が会いに来てくれなかったことです。そういったことから、より山に求めることが強くなって、自分を強くしたいと更に強く思うようになりました」


「ドミノ倒し」のように夢が実現していく

「トレーニング中の事故」を経験しながらも、山を登ることをやめない選択。後ろを向きそうなところから前向きのマインドへ振り切る源泉はどこにあるのか。
真鈴「山に登っている最中は、やめたくなる時があっても、一歩一歩前に進むんだと自分に言いきかせて登る事、それが瞑想のようなんです。色々な雑念を無にしてひたすら一つの想いだけで登り続けるということをもっとやらなければいけないと思いました」
瞑想の世界へ入り込むように、一切の雑念を払い除け登頂を目指す。大きな目標を達成出来た者だけが見ることを許される景色が、そこには拡がっている。決意と挑戦を経て、得られたものとは。
真鈴「気がつけば、エベレストを日本人最年少で登頂していて、七大陸踏破アジア人最年少になっていました。それは夢がドミノ倒しのように実現されていくようでした。私は何の実力もなく登山家でもなかったけれど、本当にやりたいという想いは伝わり、色んな人が手を差し伸べてくださって、叶わないことなんてないんだと気づいたんです」


「夢に近づけるように」自分が触媒になりたい

そして真鈴は、最終的に山が一番大切なメッセージを与えてくれたと話す。
真鈴「『自分の靴に私の足が入っていることが居場所なんだ』と山は一番大切なメッセージをくれました。まるで地球が自分の舞台のようで、自分の夢に対して『私なんかできないよ』と思っている人や、自分の夢を叶えられると信じていない、そういった世界の若者に、自分の夢に近づくための触媒(※1)になりたいと思うようになったんです」


(※1)化学反応によって、それ自身は変化しないが、他の物質へ影響する働きをする




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南谷真鈴

南谷真鈴

1996年、神奈川県生まれ。1歳半のときに父親の転勤でマレーシアへ。その後、上海や香港で生活。以降、12年間海外在住。2011年〜13年の間に香港の山々を全て登り、その後ネパールやチベットの6000m級の山々に登頂。2016年7月4日、北アメリカ大陸のデナリ登頂により、日本人最年少で世界七大陸最高峰を制覇。2016年には日経ビジネスオンラインの、新しい世界を切り開くリーダーを選出するプロジェクト、「チェンジメーカーオブザイヤー」10人のうちの1人に選出される。現在早稲田大学政治経済学部国際政治経済学科在学中。 2016年12月より女性初のユニクログローバルブランドアンバサダーに就任。

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