2016/07/04 | 2020年 東京オリンピック最高の「おもてなし」を | 4view

01_日本の建築力の素晴らしさ


大成建設・梓設計・隈研吾建築都市設計事務所JV作成/JSC提供 「新国立競技場」内観イメージ


日本の「高度経済成長」

2020年 東京オリンピックに向けての新国立競技場建設を手掛ける建築家・隈研吾は、1954年横浜市に生を受ける。ちょうどその頃の日本は、終戦から約10年が経過し、高度経済成長へ突入し、1964年は初の東京オリンピック開催、1970年には大阪万博が開催される。第二次世界大戦で焼け野原となっていた日本は、驚異的な速さで東海道新幹線、首都高速道路の整備を行い、1968年には国民総生産(GNP)が当時の西ドイツを抜き、世界2位までに昇りつめる。

そして、近代化の波に乗る日本は、大きなビルや高層マンションの建設へ力を注ぐことになる。


オリンピックを通して知った「建築家」という職業

そのような時代に幼少期を過ごした隈研吾が、建築家を目指そうと思ったきっかけは何だったのか。「私が住んでいた家はとてもボロかったんですね。1960年代、高度経済成長と共にちょうど新しいスタイルの家が次々に建ち始めたのですが、アルミサッシ、ビニールクロス、明るくピカピカした家が中心でした。その時は、自分の家がどうしようもなく古くて嫌だなと思っていました。だけれども、いつからか古いけれど昔ながらの日本家屋が良いなと思うようになりました。前回の東京オリンピックで丹下健三さんが国立競技場の建築を行い、テレビなんかでも話題になったことで建築家という職業を知り、すごく興味が湧いて、建築を通して何かを伝えていきたいと思うようになったのです」


オリンピック会場を手掛けることは運命のようなもの

実際に自分の手で次の東京オリンピック会場を手がけることになった今の心境はどうなのか。「巡り巡ってきたかなと。自分という世代が、時代をまたいできた中で、生まれた年回りが運命のように感じています。決まったからには頑張らなければと思っています」


日本の建築が自然に優しい理由

1980年代、日本はバブル全盛期に新しい化学部品などを使ったいわゆるキラキラ・ピカピカな超高層ビルの建設ラッシュにあった。自然との調和を考える建築を目指していた隈研吾は、都心での仕事が全くなくなった。その時に起こした行動は、日本の地方を巡って日本らしい家を建てて行くこと。日本の素晴らしい景色に溶け込む多くの建築物は、数十年経っても遜色することなく人々の生活と調和している。

隈研吾は、一貫して日本建築の大切さを訴える。「日本建築が一番、自然に近いです。日本食もイコールなところがあり、素材に対して一番敬意を払っているように思いますし、特にこの10年ぐらいは環境に対する優しさがより強まってきているように感じています」


フランス「サンドニ・プレイエル駅」完成イメージ


フランスのコンペは、世界で一番開けている

一方で隈研吾は、2023年完成予定のフランスのシャルル・ド・ゴール空港とパリの間に位置する新しい「パリの玄関口」となるサンドニ・プレイエル駅の建築を進めている。約20件の応募の中から隈研吾のデザイン案が選ばれた。「今回のコンペは面接が一切ないんですね。あるゆる国から応募される図面案のみで選考されます。そう言った意味では、フランスのコンペが世界で一番開けているように思います。サンドニ・プレイエル駅周辺は、移民が多く治安があまりよくない印象がある中、緑を多く盛り込みたいと考え、屋上庭園が付いた提案を行いました。自然との調和を考えた図案だったことが、選ばれた一つの理由ではないかとも考えています」


フランスにおける「都市開発」への思い

1998年のサッカー・ワールドカップの会場となった競技場やパリ大学などがある体育・文教地区のサンドニ市は、市街地が鉄道により東西に分断されている。建設中の新駅は東西の分断を解消し、ビジネス街、住宅地を含む都市開発の起爆剤となることが期待される。


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隈 研吾

隈 研吾

建築家。1954年、神奈川県横浜市生まれ。75年、東京大学大学院建築学科修了。コロンビア大学客員研究員、慶應義塾大学教授を経て、2009年より東京大学教授。主な作品は「水/ガラス」(静岡県)、「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」(宮城県)、「石の美術館」(栃木県)、「梼原町役場」(高知県)、「ONE表参道」「サントリー美術館」「根津美術館」(東京都)、「アオーレ長岡」(新潟県)、「竹の家」(中国・北京市郊外)、「三里屯ビレッジ」「三里屯SOHO」(北京)、「ブザンソン芸術文化センター」(フランス)など国内外に多数。著書に『10宅論』(ちくま文庫)、『負ける建築』『自然な建築』『小さな建築』(岩波書店)、『日本人はどう住まうべきか?』(日経BP社・養老孟司との共著)など多数。最新刊『建築家、走る』(新潮社)では、疾走する建築家として世界のパラダイム転換を解き明かしつつ、隈ならではの文明論、建築論を縦横に語っている。
http://kkaa.co.jp/

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