2016/07/04 | 2020年 東京オリンピック最高の「おもてなし」を | 51view

04_手段を目的化しないコミュニケーション強化方法とは


隈研吾建築都市設計事務所:屋上テラスに面した書斎


外国人をチームへ入れる

隈研吾建築都市設計事務所には、外国人スタッフが全体の3割程在籍しており、国籍も様々だという。一体、コミュニケーションはどのように図られているのか。「強制的に英語を習わせようとするのは間違えていると思います。例えば、いついつまでに英語のテストを受ける。とか。それだと手段が目的化してしまうので、うちの場合は、日本人チームの中に外国人スタッフを入れることで、一緒に食事に行くようになりコミュニケーションが盛んになったのです。何かを伝えたいと思う必然性から多国語を学び、お互いに理解を深めていくようになるということが分かりました」


コミュニケーションに目覚める

では一体、何語で会話するのか?「言語はかなりちゃんぽんですが、ラテン系ではスペイン語が一番通じやすいみたいです。日本の大学で学ぶ内容は、かなり狭くてコミュニケーション能力が全くない状態で社会へ送り出されます。強制的に外国人をチームへ入れ込むことで、コミュニケーションに目覚めるようです」隈研吾建築都市設計事務所でデザイナーとして仕事をしているスタッフの泉さんにも、外国人スタッフとのやりとりに関して話を聞いてみた。「片言の英語とジェスチャーで、コミュニケーションを取っていますね。大体、通じていると思います(笑)」

日本のみならず、海外事業を進める中で一つのコミュニケーション手法を見つけ、意思決定する隈研吾流のビジネス手腕は、語学力アップを目指す企業全てで学ぶべきことである。


建築力 = コミュニケーション力

建築は、緻密な計算力やデザイン力などかなり高度なテクニカルが必要とされるように感じるが、それ以上に必要なのはコミュニケーション力だと隈研吾は語る。「建築は、将来使う人に対してコミュニケーションを図りながらニーズをキャッチし、絵に起こします。そして今度は工事を行う人へ正確にそれを伝える必要があります。建築力はコミュニケーション力と言っても間違い無いですし、造形以上にコミュニケーション力が問われると思います」


海外と日本のコミュニケーション方法の違い

海外での仕事も多くこなしている隈研吾は、日本と海外のコミュニケーション手法の違いについて指摘する。「海外では、まずは一緒に飲んで食事することから始まります。そうすることで、相手の本質がわかってくるからです。そしてそこから仕事をします。逆に日本では仕事をした後、リラックスして初めて飲み食いします。日本も昔は、まずは呑んだり食事したりという文化があったはずなのですが・・・」

日本人は、寡黙で真面目に仕事をこなす資質はあるものの、外に向けての発信はあまり得意ではない。即ち、本来のクールジャパンは海外へは伝わってない可能性が高い。ビジネスシーンにおいても、プレゼン力や伝え方について模索しているビジネスパーソンが多いことを考えるともっと積極的に外国人を日本チームへ入れて、そこでの会話や文化交流をすることが必要かもしれない。

【参考文献】
■「なぜぼくが新国立競技場をつくるのか 建築家・隈研吾の覚悟」/隈研吾
■「小さな建築」/隈研吾
■「日本型ヒーローが世界を救う」/増田悦佐




information

「三越日本橋本店」リモデル後の本館1階イメージ

アートや文化の発信へ。隈研吾を起用し三越日本橋本店全館リモデル
「カルチャーリゾート百貨店」の完成を目指す「三越日本橋本店」は、環境デザインディレクターとして建築家・隈研吾を起用し、全館リモデルに向けた計画の中、2018年春に第1期グランドオープンを目指す。今回、文化を軸にフロアやマーチャンダイジングを構成し、アートをはじめとする「あそび文化」にまつわる商品やサービスを充実させる。第1期では、コンテンポラリーアートをはじめ館内のギャラリーを現在の5カ所から10カ所に増やすことで、ファッションを基軸とする百貨店とは異なるコンセプトを打ち出し、40代をメインターゲットに顧客分類や接客なども刷新する。隈研吾が手掛ける環境デザインのコンセプトは、人が集まる「樹」と人が流れる「道」。重要文化財の指定を受ける見通しとなった外観や中央ホールなどはそのままに、リモデルのフロアによってデザインテーマを変えて江戸切子など日本ならではの意匠を取り入れる。


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隈 研吾

隈 研吾

建築家。1954年、神奈川県横浜市生まれ。75年、東京大学大学院建築学科修了。コロンビア大学客員研究員、慶應義塾大学教授を経て、2009年より東京大学教授。主な作品は「水/ガラス」(静岡県)、「森舞台/登米町伝統芸能伝承館」(宮城県)、「石の美術館」(栃木県)、「梼原町役場」(高知県)、「ONE表参道」「サントリー美術館」「根津美術館」(東京都)、「アオーレ長岡」(新潟県)、「竹の家」(中国・北京市郊外)、「三里屯ビレッジ」「三里屯SOHO」(北京)、「ブザンソン芸術文化センター」(フランス)など国内外に多数。著書に『10宅論』(ちくま文庫)、『負ける建築』『自然な建築』『小さな建築』(岩波書店)、『日本人はどう住まうべきか?』(日経BP社・養老孟司との共著)など多数。最新刊『建築家、走る』(新潮社)では、疾走する建築家として世界のパラダイム転換を解き明かしつつ、隈ならではの文明論、建築論を縦横に語っている。
http://kkaa.co.jp/

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