2016/07/27 | (歌舞伎 × テクノロジー)+市川染五郎「伝統とは時代を超えた革新力にあり」 | 101view

21世紀型歌舞伎は テクノロジーで革新される


歌舞伎俳優 市川染五郎 (写真提供©松竹株式会社)


日本人の心に脈々と受け継がれる「歌舞伎」という日本の伝統芸能

日本の伝統芸能の一つである「歌舞伎」。戦国時代から江戸時代末期にかけて、異風を好み派手で色鮮やかな着物を身にまとい、社会常識を逸脱する者「傾奇者(かぶきもの)」たちによる世間の常識や権力・秩序への反発・反骨の表現として流行した。茶道や和歌などを好む者たちを数寄者(すきもの)と呼んでいたが、それよりも更に数寄に傾いた者たちのことを傾奇者と言う。その頃の風俗を取り入れたかぶき踊りが歌舞伎の原型と言われている。しかし傾奇者文化は時代の変化とともに姿を消すが、傾奇者文化にある美意識は歌舞伎の芸能へと受け継がれ、その時代を反映する舞台芸能の一つとして進化。そして今「テクノロジー」と歌舞伎の融合を考え、新しい試みがなされることになった。アメリカ ラスベガス公演の舞台裏を追う。


何故、ラスベガスで歌舞伎を演じる?

アメリカ、ラスベガスにて。2015年8月、2016年5月の2回、歌舞伎俳優 市川染五郎による歌舞伎と先端テクノロジーの融合による公演が行われたが、一見してとても遠いのではないかと思われる2つの分野がどのような経緯で融合し、実施に至ったのか。実施においてのプロデューサーである松竹・副社長の細田氏と常務取締役の岡崎氏へ話を聞いた。

細田氏「2年程前にMGMと今回の話が始まりました。来日していただいた際に、ラスベガスに新しいコンテンツを出したいとお話しいただき、その新しいコンテンツとして歌舞伎に可能性を感じていただいて。松竹側としても、2020年に向けて益々増大が予想されるインバウンドマーケット、とりわけ外国人観光客向けに歌舞伎をベースにした新しいコンテンツを提供し、それをローカライズして全世界に広めていきたいと思っていたので、双方の意見が合致した形になり、いろんな方々を巻き込んで実施することになりました」カライズして全世界に広めていきたいと思っていたので、双方の意見が合致した形になり、いろんな方々を巻き込んで実施することになったのです」



左:松竹株式会社 取締役副社長 細田氏 / 右:松竹株式会社 常務取締役 岡崎氏


歌舞伎の演目「鯉つかみ」を再現してみたい

細田氏「実際に、演出家と染五郎さんと一緒にラスベガスへ行きまして、新しい歌舞伎を考えました。2015年8月はラスベガスにあるベラージオホテルの噴水を使って、歌舞伎に昔からある“鯉つかみ”をラスベガスでも出来たら素晴らしいのではと思いました」

ベラージオホテル前の噴水は、コモ湖をイメージした広大な湖になっており、広さはなんと5万平方メートル。湖で行われる噴水ショーはスケールの大きさと夜になるとライトアップされる美しさも相まって、世界中から訪れる観光客にも人気の場所である。そのような場所で日本の伝統である歌舞伎を、テクノロジーとどう組むことで表現できるのか?

岡崎氏「歌舞伎は伝統を守るだけではなく、その時代の要素を絡めながら成長してきました。伝統を守り受け継いでいくのはもちろん大切ですが、古典を受け継ぎ洗練を極める一方で、常に新しい作品を創造してゆく、その両立が歌舞伎の生命線なのです。歌舞伎は400年の歴史がありますが、その時代に合わせお客様に向けた歌舞伎がその時代時代で生まれてきました。スーパー歌舞伎、アーティストコラボの歌舞伎などもそういう考え方の一つです。そして今回新しく取り組んだのが最先端のテクノロジーを取り入れて融合させた歌舞伎ということになります」


テクノロジー×歌舞伎の融合の難しさ

では、テクノロジーと歌舞伎を実際に融合させる時に苦労したことについて具体的に聞いた。細田氏「デジタルで作られた映像のアジャストが効かない動きと、人間の動きを合わせていかなければいけないことが一番難しいように思います。古典的な歌舞伎であれば、体に染み込んでいるベースがあり、生身の役者の演技は阿吽の呼吸で合わせることができますが、全くの新作且つ映像と人間、更に音楽と合わせなければいけない。その上英語の歌舞伎。各方面のみなさんの努力でなんとか間に合いましたが、合わせるのが本当に困難だったと思います」

岡崎氏「歌舞伎にとっての古典は楽譜を暗譜しているようなものですから、3、4日稽古すれば本番を迎えられます。しかし今回は、日本でも1ヶ月かけて稽古やパートごとに合わせたり、現地での4日間で1週間くらいの量を稽古してもらって、なんとか本番を迎えられました」

今回のトライアルで手応えを感じたのは確か。今後、一つのビジネスとして成立させるためにどうするべきか細田氏は既に見据える。


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Music Producer, MC, DJ (m-flo, TERIYAKI BOYZ®, PKCZ®)Creative Director (AMBUSH®)m-floでの活動の他、超豪華ラップグループ TERIYAKI BOYZ® 、新たにスタートしたクリエイティブユニット PKCZ® のメンバーとしても知られ、独自のコネクションを活かし数多くのアーティストとコラボレーション。 Pharrell、Kanye West、AFROJACK など海外のアーティストとも交流が深い。近年はDJとしても飛躍を遂げ、そのスタイルはファッション界からの注目も熱い。デザイナーのYOONと共に2008年にスタートしたアクセサリーブランド “AMBUSH®” ではクリエイティブディレクションを手掛け、これまでに Louis Vuitton(Kim Jones)、SACAI、A Bathing Ape® など、錚々たるブランドともコラボレーション作品を発表している。


左:松竹株式会社 取締役副社長 細田氏/右:松竹株式会社 常務取締役 岡崎氏

左:松竹株式会社 取締役副社長 細田氏/右:松竹株式会社 常務取締役 岡崎氏

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