2016/10/31 | 老舗企業からブランドづくりの真髄を学ぶ | 4view

#02_会社・地域全体で育成する風土

聖護院八ッ橋総本店


月に一度の販売会議で見えること

縦割り社会の風土がある日本企業では、部門をまたいでのコミュニケーションはなかなか円滑ではない。可奈子氏は社員の意識統一を図ることを目的とした会議体をつくり運営している。

可奈子氏「各店舗の販売責任者やアルバイトスタッフからお客様の意見を汲み取る場として、月に一度の販売会議を販売員からの要望もあり、2年ほど前より実施しています。参加スタッフのコミュニケーションを活発にしたいため、会議に社長は入りません。会議の中では、例えばお土産袋のサイズが大きいとか小さいなどの細かいどんな意見も聞きます。お客様からの要望を全て採用出来なくても、なぜそれが出来ないかをコスト感も含めてきちんと説明することでスタッフの納得感を得られると同時に、コストに対する意識を持ってもらえます」

当たり前のことのように感じられることも、振り返ってみると意外と出来ていない企業は多いのではないだろうか。実際に会議を開いていたとしても、肝心なことはそこで円滑なコミュニケーションが図られているかどうかである。


つぶあん入り生八ッ橋「聖」


「やっぱり八ッ橋だよね」と言ってもらうために

八ッ橋は、全国のお土産知名度としても名高い。菓子類を10品目に分けられた買上状況を見ると、日本人観光客全体の30%以上が生八ッ橋を購入しており菓子類の中でダントツ1位にある(※1)。同時に、洋菓子の買上も全体の20%を超えている状況を鑑みると多様化した嗜好性や、より美味しさを追求した商品が参入してきているのが分かる。

可奈子氏「その昔は、京都のお土産=八ッ橋でしたが、お土産の種類は増えてきています。実際、関東資本の会社が“京都のお菓子”という名称を付けるだけで売れることを知ってかそういったお菓子も増えているのは事実です。20〜30年前までは“観光客を増やしましょう”だったのが、今は観光客を増やしたうえで八ッ橋をどう選んでもらうかに変わってきています。京都の観光業界全体としても京都の会社がつくったものをお土産として選んでもらえるように力を入れています。あらゆる競合環境において差別化という観点はあまりないのですが危機感は京都全体で生まれていますし、私達は“やっぱり京都土産は八ッ橋だよね”と言ってもらうための施策を考えています」

新しい商品が入ってきたからと言って排他的になる必要はないが、より良いものへのブラッシュアップは常に必要となってくるので、その地域全体で協力し向上させる風土をつくることも大切である。


新ブランド「nikiniki(ニキニキ)」が果たす役割

2011年、可奈子氏はケーキを買うように八ッ橋を選んでもらえる新ブランド「nikiniki」(P2のイメージ)をオープンさせた。

可奈子氏「生八ッ橋はお土産品としての認識が強いことから、なかなか地元の人は買う人が少ないのです。ある時、地元の友達に八ッ橋を食べてもらったことがあってその時に“えっ?八ッ橋ってこんなに美味しいの?”と驚かれました。そこで、八ッ橋や生八ッ橋にもっと身近に親しんでもらうブランドを作りました。結果的に“京都でしか食べられないアートな生八ッ橋”というようにメディアなどで紹介されたことで、生八ッ橋の新しい認知や地元の人が買うきっかけとなったように考えています」

(※1)京都観光総合調査2015年(1月〜12月)版
http://www.city.kyoto.lg.jp/sankan/cmsfiles/contents/0000202/202863/honsatsu.pdf



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鈴鹿 可奈子

鈴鹿 可奈子

聖護院八ッ橋総本店/専務取締役。京都市生まれ。京都大学経済学部経済学科卒業、在学中カリフォルニア大学サンディエゴ校エクステンションにてPre-MBA取得。卒業後、信用調査会社勤務を経て、2006 年聖護院八ッ橋総本店入社。「守るべきことを守ること、続けていくことが大事」という父・鈴鹿且久社長のもと、長い歴史と伝統の味を守り受けつぎながらも、新しい商品づくりに日々努めている。2011 年には新しい形で八ッ橋を提供する新ブランド「nikiniki(ニキニキ)」を立ち上げた。現在、専務取締役。

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