2016/10/31 | 老舗企業からブランドづくりの真髄を学ぶ | 40view

#04_どうやって買ってもらい やすくするか

(※1)季節感を6つのパターン化した生八ッ橋のパッケージ


“ターゲット”の本質

可奈子氏は、ターゲットを見なければということに集中しすぎて大切なことを忘れていたということを話してくれた。

可奈子氏「私がこの仕事に就いた時、修学旅行の学生向けにポップな外装(デザイン)を考案しました。しかし社長である父よりNGが出てしまったのです。考案したのは10代のターゲットに絞った商品だったのですが、父から言われたのは“昔から八ッ橋を買ってくれている70代80代のお客様が見たらどう思うだろうか?私は買ってはいけないのではと思わせるような、人に疎外感を与えるものは作ってはいけない”ということでした」


まず目に入るのは「パッケージ」

一般的なマーケティング4P戦略では、商品・価格・流通・プロモーションであるが、歴史が長い菓子ブランドであることから価格競争は元々視野に入っておらず、その代わりの戦略が可奈子氏にはあった。

可奈子氏「聖護院八ッ橋本店としては、4Pの一つプライス(価格)をパッケージのPということでプロットしています。あえてパッケージそのものを商品とは切り離して考えました。八ッ橋業界においてプライスは暗黙のルールでほぼ横並びであるため、価格競争になることはありません。そこで、商品の味が美味しいことは大前提としてその前に店頭に足を運んでいただいたお客様の目に入るのはパッケージになりますので、まずは手に取ってもらえるように全てを考えています」


京都には素晴らしい「四季」がある

可奈子氏「京都には観光時期によって様々な表情を見せてくれる素晴らしい四季があります。例えば、桜が咲く頃に京都観光をされた方が、お土産を買ってお渡しするのに“とても桜が綺麗だった”という季節感のあるお話とともに桜がモチーフとなった生八ッ橋のお土産をお渡しすることが出来ると、すごく素敵ではないかなと思い、2006年より6つのパッケージ(※1)を季節によって変化させています。このパッケージデザインの方向性は、先にお話した月一度の販売会議をやっていたからこそ実現できた気づきの一つです」




一瞬で売り切れたアニメコラボ商品

伝統を守りながらも新しいことへのチャレンジは積極的に行っている。但し、適材適所で買ってもらうためのやることとやらないことは明確になっていた。

可奈子氏「京都市からの要望で観光客誘致を目的とした“魔法少女まどか☆マギカ”とのコラボ企画が出てきました。直営店舗では販売せず京都駅近くのアニメイトで発売したところ、限定200個がほんの数十分で売り切れるという現象が起きました。この商品を買うためだけに遠方から新幹線で来て購入されるなどの話を聞いて、そのような売れ方をしたのは初めてだったのでとても驚いたと同時に、その瞬間は良いかもしれないけれど長く続けられるかどうかが読めなかったこともあり、たとえ魅力的なコラボレーションのお話をいただいたとしても直営店では販売しないことを一貫しています」


商売の根底にある「おもてなし」とは

最後に可奈子氏にとっての「おもてなし」とは何かについて話を聞いた。

可奈子氏「おもてなしとは、相手によって違うものと思っています。とにかく相手のことを知ることがおもてなしに繋がると思うのです。私は、茶道を通じて学んだことがあります。お茶事では、お客様に合わせて室礼やお道具が変わります。季節感やお客様に合う茶器はどんなものだろう?と考えるのです。お客様が喜ばれる瞬間を迎えるまでの過程が大切で、その人それぞれに合ったおもてなしがあるということです」



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鈴鹿 可奈子

鈴鹿 可奈子

聖護院八ッ橋総本店/専務取締役。京都市生まれ。京都大学経済学部経済学科卒業、在学中カリフォルニア大学サンディエゴ校エクステンションにてPre-MBA取得。卒業後、信用調査会社勤務を経て、2006 年聖護院八ッ橋総本店入社。「守るべきことを守ること、続けていくことが大事」という父・鈴鹿且久社長のもと、長い歴史と伝統の味を守り受けつぎながらも、新しい商品づくりに日々努めている。2011 年には新しい形で八ッ橋を提供する新ブランド「nikiniki(ニキニキ)」を立ち上げた。現在、専務取締役。

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