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#03_萬斎流「引き算」で創るクリエイティブ

  • 2017/03/15
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野村萬斎

野村萬斎

クリエイションする中で、答えを全て与えてしまうのではなく「引き算」をすることで本当に伝えたいことが明確になり想像力が高まることがある。萬斎もまた、「引き算」の大切さについて考えがあった。


観る人に「考える余地」を残すこと

コミュニケーションのあり方として、萬斎は観客との距離感をどのようにはかり、伝えたいことを発信しているのか。そこには、情報過多な現代の時代背景を考慮した萬斎流の発信の仕方がある。
萬斎「それは、想像する余地を残すということですかね。最近、全部を説明し過ぎてしまっていることが多いと感じます。世界観というのは人それぞれあるわけで、演出している人の世界観に交わり共振することが一番重要かと思います。そういった自分の世界を提示していく時に『これはこうだ』と強調するだけでなく、相手に考える余地を残すことが出来れば良いと考えています」


夢を与える=「真空」をイメージした演出手法

それは決して引き離すわけではない、夢を与えられるように考え抜いた手法である。
萬斎「僕はちょっと意表をつくようなことを考えることが好きだから、『そこがゴールだよ』と思わせながら全部ひっくり返してどんでん返しをすることがあります。それまで共有していたものが急にポーンと無くなった時にゴールを見せてそこへくっついちゃうイメージです。まさに、真空を作った時にシュポン!とくっついちゃう感じでしょうか。演出家として虚構を作る・だますというか夢を与えるということはあります」




一瞬にして全観客の視線を集めるテクニック

萬斎が舞台上から客席を見る中で、一番注目されたい瞬間にどんな手法で観客を誘(いざな)うのか聞いてみた。
萬斎「それは『黙る』ことですね。うぁーっと喋って、突然黙ってニヤッと笑ったりするんです。そうするとみんなすごく想像力を膨らませ、集中力を持って観てくれますね。僕は普段、ペラペラと立板に水を流すように喋ることが多いのですが、ふと黙ってふふふと笑ったりすると、ものすごい勢いで何を考えているのだろうかと考えてくれるようです」


それは、「神のお祭り」に近づく

よくステージパフォーマンスなどを極めている人を見て「神がかっている」と言うことがある。それは、年齢と経験を重ねることで無駄が削ぎ落とされ洗練されてくるということなのだろう。
萬斎「17歳で初めて『三番叟』を披いた時は、体力を使って力任せでやっていました。年齢とともに体力が落ちていく中で逆に集中力が増して、且つ経験値も上がっているので自分を客観的に見られるようになるんです」
では、究極の領域に行くとどんなクリエイションに辿り付くのか。萬斎でも未だ見ぬその世界を想像してくれた。
萬斎「そして、その先は 瞑想的になっていくように思います。そうなればなるほど、自分の中に神を見出すようになります。より神事のような神のお祭りに近づいていく感じなんです。それは、師匠である父が先行して見せてくれるんですが、僕よりもっと体力がないので、もう無心でやっているわけです。僕は集中力と技術で見せようとするんですが、父はさらに次の次元です。ある意味、解脱した世界で無理が全くないように見えます」
それはまさに「悟りを開く」という表現に相応しいものである。





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