2017/03/15 | 野村萬斎から学ぶイノベーション力 | 56view

【WEB限定版】_萬斎流「アヴァンギャルド」な世界


音楽に合わせるのではなく「まとう」

狂言の世界において、生身の人間が奏でる囃子(はやし)という音楽が身体に刻まれている萬斎は、音楽のリズムと人の動きについて気づいたことがある。
萬斎「例えばダンサーを見ている中で気づいたんですが、音に合わせようとすると絶対的に音に遅れるんですよね。何故なら、音を聞いてから身体を動かしていくからです。だから、最近のTVで激しく踊っているダンスグループを見ても、体力勝負でリズムに合わせようとするから伸びやかさがなく、体操のようだなと感じることがあります。あくまでも僕が感じていることですが。スケーターの羽生選手へも『陰陽師』の曲を選んだ時にアドバイスしたことがあるんですが、『音楽に合わせるのではなく音楽をまとわなくちゃだめだ』ということを伝えました」


萬斎流の「アヴァンギャルド」とは

萬斎は、伝統演劇と現代演劇の融合という考えで様々な作品を演出する。そして、「古典的なものをアヴァンギャルドに使う手法は、私の真骨頂」と話すが、果たして萬斎流のアヴァンギャルドとはどういったことなのか。
萬斎「やはり、考えさせることかなと思います。絵で例えると、ピカソの顔が3つある作品を見ると、一瞬何だろうって思うんですよね。でも、『これってもしかしたら同時に3つの表情を人の顔にのせているのでは』という風に見えてきた時に、なるほどとなるんです。そういったように『想像力を働かせることで見えなかったものが見えてくる』と、一種のアヴァンギャルドな発想なのかもしれないと考えています」


狂言のエンターテインメント性

650年続く狂言が「伝統芸能」として定義される中で、観る人にとって理解することが難しい部分もあると話す。
萬斎「狂言は『省略の美学』と言われますが、観る人にとって分かりにくさがある場合、狂言を観たことがないお客様の手ほどきとなるような工夫が必要になることもあります。電光掲示板に解説を流したりしたこともありますが、お客様には説明しない余白を、想像力を働かせて自由に観ていただくという楽しみ方ができることが狂言の面白さの一つでもあると思います。狂言は、お客様が視覚や聴覚、いろいろな感覚を使って、時代を経て繰り返し再演しても揺るがない、豊かなエンターテインメントです。過去には3,500人入るNHKホールで上演したこともありますが、大きな会場で見せるためには、さらにエンターテインメント的要素を加味する工夫も必要になります。2020年の東京オリンピックの開会式の総合演出でも、7万人を超えるキャパシティの新国立競技場を埋めるための見せ方があるでしょうし、さらに世界何十億人の人が見るテレビ画面でどう見せるか、という発想も必要だと思います。今年のお正月に東京国際フォーラムで真鍋大度さんの映像とのコラボレーションで上演した、日本の伝統美を最先端テクノロジーで可視化するアートパフォーマンス『三番叟FORM』でもいろいろな発見がありました」




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野村萬斎

野村萬斎

狂言師。1966年、東京都生まれ。狂言師。人間国宝・野村万作の長男。重要無形文化財総合指定者。2002年より世田谷パブリックシアター芸術監督を務める。国内外の能・狂言公演や舞台・映画出演はもとより、世田谷パブリックシアターでは『まちがいの狂言』など狂言の技法を駆使した舞台や、『国盗人』(「リチャード三世」を翻案)など古典芸能と現代劇の融合を図った舞台を次々と手掛ける。芸術監督就任後初の構成・演出作『敦 ―山月記・名人伝―』では朝日舞台芸術賞、紀伊國屋演劇賞を受賞。構成・演出・出演を務めた『マクベス』は全国各地で上演を重ねるほか、海外公演(ソウル、ニューヨーク、シビウ、パリ)も果たした。

松井るみ

松井るみ

舞台美術デザイナー。多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業。劇団四季を経てロンドンへ留学。帰国後、舞台美術家としての活動を開始。2004年『Pacific Overtures』(宮本亜門演出)でブロードウェイデビューし、同作品デザインで第59回トニー賞にノミネート。2007年にはOISTATより“世界の最も名誉ある舞台デザイナー12人”に選出。タン・ドゥン作曲『TEA: A Mirror of Soul』(宮本亜門演出)ではオペラ界においてもアメリカ進出をはたす。さらに、2010年6月には『The Fantasticks』(宮本亜門演出)でロンドンのウェストエンドデビューを飾った。 近年は、上海公演や、AKB48の5大ドームツアー、国立競技場公演のセットデザインを手掛けるなど、活動の幅を広げている。これまでに参加した作品は400以上にのぼり、紀伊國屋演劇賞個人賞、第8回・第19回読売演劇大賞最優秀スタッフ賞,伊藤熹朔賞、菊田一夫演劇賞他、受賞多数。2015年より東京藝術大学の非常勤講師を勤める。

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